人間中心イノベーションの夜明け


8月18日付け日本経済新聞の経済教室欄に東京大学の堀井秀之氏が、日本のイノベーションのあり方について寄稿されています。
この中で堀井氏は、技術志向のイノベーションから離れ、生活者主体のイノベーションに注目すべきであるとしています。この考え方は、人間中心イノベーション(Human Centered Innovation)と呼ばれ、Business Weekなんかも数年前から追いかけているテーマの一つです。
この寄稿の中では、デザイン思考(Design Thinking)というもう一つ鍵となる概念が紹介されています。Design Thinkingはこの文章中でも紹介されているIDEO社の社長、Tim Brown氏が、IDEOの活動や以前ここでも紹介したTEDなどを通じて世の中に伝えています。
堀井氏はこれらの概念を紹介しながら、技術思考のイノベーションから離れて考えることの重要性を説きます。また、これらの考え方が日本のイノベーションのあり方に合っているのではないかという問題提起をしています。またその活動の一環として、以前ここでも紹介した東京大学のi.Schoolの活動にも触れています。
日経新聞東京大学の教授によるこのような記事が紹介されているのが大変興味深いです。かならずしも人間中心イノベーションのみが、イノベーションの有効なあり方だとは思いませんが、これまで日経新聞、あるいは東京大学といった日本のメインストリームの文脈で語られてこなかったのは間違いないでしょう。日本らしいイノベーションのあり方を考えるときに、人間中心イノベーションが選択肢の一つとして考慮されはじめていることに意味があるのではないかと思います。