eneloop × 自転車


サンヨーのeneloop bikeの新車種が発表されたようですね。既存のeneloop bikeラインナップはどうしても旧来型の自転車の枠組みに納まるものが多かったのですが、新たに発表されたモデルは、電動アシスト自転車独自の領域を意識したものに仕上がっている印象を受けます。
特に新たに発表された折りたたみモデルSPJシリーズは興味深い存在です。ちょっと家電を感じさせるすっきりとした外観に加えて、電動アシスト初の両輪駆動といった機能性も備えています。これはひょっとすると先日のブリヂストンの製品よりも先をいくものかも知れません。
しかし、サンヨーのeneloopチームは本当にいい仕事をしますよね。自社の強みを最大限に活かしながら、同時にビジネス領域も拡張している。しかも、そのビジネス領域は生活者にとっても新しい生活のあり方であるというところがポイントなのではないかと思います。つまり、供給者と受容者の両方にとってのイノベーションが実現しているわけです。
もう一つ特筆すべきなのは、それを洗練された外観のデザインにおさめている点です。自転車はまだこなれ切れていない面もありますが、電池はデビュー当時からあのデザインクオリティで世の中に勝負をかけています。競合の充電池のデザインと比較するといかに志の高いデザインが施されているかよくわかります。2008年のグッドデザイン賞を始め多くの賞を受賞しています
失礼を承知で書くと、これが一度倒産の危機に瀕した会社の仕事とは思えません。しかもeneloopの事業は経営危機の最中に成長しているのです。ある意味、これは日本企業の特徴を示しているのかもしれません。日本企業は、欧米のトップダウン型マネジメントではなく、構成組織の自律性が特徴だといわれています。これが悪く働くと個別の事業部がムラ的になり、事業部間の連携に取りにくくなってしまいます。ちょうど近年のソニーがこの症状に陥っていたのかもしれません。一方、三洋のように経営危機のような会社全体の出来事は尻目に、事業部の独自性で我が道を行くある種の孤高の鈍感力のようなものがいい方向に作用するというケースもあるのではないでしょうか。