戦国武将が注目される理由とは?


中国で戦国武将が人気ということを書いたと思ったら、雑誌PENで戦国武将特集をしていて、おもわず買ってしまいました。中身はPENらしい視点で、武将だけではなく、甲冑や武器のデザイン、美術品、城、家紋などが取り上げられています。
PENでは以前から茶の湯や江戸のデザイン、神社や寺を取り上げたりしているので、その延長ともいえなくもないですが、まさか戦国武将とは。
ちらほら耳にするところでは、中国だけではなく、日本でも若者を中心にこうした戦国モノが注目されているようです。今回のPENの特集はこのあたりの背景を踏まえたものかと思います。中には、戦国武将や明治維新の志士たちが好きな「歴女」と呼ばれる人たちがいるとか、はたまた歴史好きを標榜するアイドル「歴ドル」までいるらしいです。
しかし、なぜここに来て戦国なんでしょうか。いろんな理由はあると思いますが、中央集権的なモノカルチャーから地域分散的なマルチカルチャーへの流れというのが一つの背景にあるのではないかと感じています。
日本はずっと大きな物語をみんなで共有するモノカルチャーの文化でした。東京圏などの人口密集エリアでは、大きな物語の下部構造にサブカルチャーとしてのフラグメント化された文化が力強く育まれており、これはこれで今後も維持されると思います。一方、地方では、これまではこの大きな物語サブカルチャーのミニチュアが存在するという構造でした。
今起こっているのは、地方の独自性を強く期待する動きではないでしょうか。独自性という意味では、明治維新期のプレイヤーに注目されてもいいかも知れませんが、彼らは大なり小なり中央集権的なものを目指した人々ですし、幕藩体制期の藩にしても、中央におけるメインカルチャーサブカルチャーの関係のミニチュアが地方にも存在する現在の構造とよく似ているかも知れません。その点、戦国の時代は、政治的安定期に挟まれた内乱期であり、エリア別、武将別の独自性が際立っていた時代だといえます。武将などのキャラクター性や国というエリア性、そしてかけひきや善悪などがそのわかりやすさをさらに引き立てています。
うーん、それでもなぜ戦国なのかまだちょっとピンとこないところもあります。時代の混乱期だからこそ、下克上でもいいんじゃないか?ということを社会が承認し始めているのかも知れません。